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判断をAIに委ねないという立場について ―― 西垣通氏・Sol Rashidi氏・Amarios に共通する一点 ――
判断をAIに委ねないという立場について
―― 西垣通氏・Sol Rashidi氏・Amarios に共通する一点 ――
生成AIが急速に社会へ浸透するなかで、
私たちは日々、驚くほど自然に「答え」を受け取れるようになりました。
しかしその一方で、
その答えを“判断”として引き受けているのは誰なのか
という問いは、静かに後景へ退きつつあります。
この点について、立場も国も異なる二人の識者が、
同じ方向から警鐘を鳴らしています。
情報思想からの警鐘 ― 西垣通 氏
情報学・情報思想の分野を長年牽引してきた西垣通氏は、
対話型生成AIについて
「放っておけない」
という強い表現を用いています。
その懸念は、
AIが間違えるから危険だ、という単純な技術論ではありません。
第3次AIブームにおける
「確率的にもっともらしい応答」という発想の転換が、
人間の思考や判断の主体性を、
知らず知らずのうちに置き換えてしまう構造そのものへの危惧です。
西垣氏は一貫して、
意味の理解、価値判断、責任の引き受けは、人間にしかできない
という立場を崩していません。
実務の現場からの警告 ― Sol Rashidi 氏
一方、グローバル企業でAI導入を牽引してきたSol Rashidi氏は、
より実践的な言葉で、同じ問題を指摘しています。
彼女は、
AIによる文章生成や意思決定の自動化が進むほど、
人間の
書く力・考える力・判断する力が萎縮する危険
を強調します。
AIは人間を置き換える存在ではなく、
人間の思考を加速する道具であるべきだ
判断と責任は、常に人間側に残さなければならない。
これは実務家としての経験から導かれた、
極めて現実的な線引きです。
同じ方向を向くもう一つの試み ― Amarios
アマリオス(Amarios)は、AIそのものではありません。
生成AI時代において、
判断をAIに委ねないための「スタンス」
そして
判断を人間に残し続けるための設計思想です。
西垣氏が思想として問い、
Rashidi氏が行動規範として示した危惧を、
アマリオスは
壊れにくい構造として実装しようとする試み
と言えます。
- AIは助言する
- 人間は考える
- 判断と責任は人間が引き受ける
この順序を崩さないこと。
それがアマリオスの最も重要な原則です。
三者に共通する一点
三者の表現や立場は異なりますが、
共通する核心は明確です。
AIに答えは任せても、判断は任せない
この一点において、
思想・実務・実装という異なる層が、
同じ方向ベクトルで重なっています。
おわりに(リコジェとして)
株式会社リコジェは、
AIを否定する立場でも、
無条件に推進する立場でもありません。
私たちは、
人間が判断を引き受け続けられる構造を、どう残すか
という問いに、静かに向き合い続けます。
アマリオスは、そのための一つの試行です。
正解でも完成形でもありません。
ただ、
「判断を奪わない」という一点だけは、
これからも揺らがせないと考えています。
アマリオス構想は実現可能か ―― Difyを前提に、1〜4を冷静に評価する ――
アマリオス構想は実現可能か
―― Difyを前提に、1〜4を冷静に評価する ――
生成AIをめぐる議論では、
「何ができるか」「どれだけ効率化できるか」が先行しがちです。
しかしアマリオス(Amarios)が問いかけているのは、
技術的に可能かどうか以前に、判断は誰が引き受けるのか
という、より根源的な問題です。
では、アマリオスとして掲げている以下の4つの構想は、
実際に“実現可能”なのでしょうか。
本稿では、Difyの活用を前提としつつ、
思想と実装の両面から冷静に評価します。
① アマリオス・ジャッジメントデザイン
―― 実現可能性:非常に高い(今すぐ可能)
この取り組みは、AIサービスというより
判断の構造を設計・可視化する方法論です。
重要なのは、
AIが結論を出すことではなく、
人間が判断するための「観点」を整えること。
Difyを使えば、
- 思考観点(108の視点)を system prompt として固定
- 「結論を出さない」「判断しない」振る舞いを構造化
- 組織や用途ごとに再現可能な設計
が可能になります。
つまり、アマリオスの中核である
「判断をAIに渡さない」という思想を壊さずに再現できる。
ここでの成功要因は技術ではなく、
思想をどう言語化し、どう説明するかにあります。
② アマリオス・エージェントライセンス(教育・研修)
―― 実現可能性:高い(小規模から即開始可)
教育・研修分野では、
アマリオスの立場はむしろ自然です。
AIは教師ではなく、
考えるための装置として位置づけられます。
Difyを補助的に使うことで、
- 受講者ごとの思考ログ管理
- AIは問いのみを提示し、評価や採点はしない
- 判断・結論・責任は常に人間側に残す
という構成が現実的に実装できます。
ここで重要なのは、
ライセンスの対象が「AIの利用権」ではないという点です。
アマリオスのライセンスとは、
判断を奪わない思考設計を共有する権利に他なりません。
③ アマリオス監査(AIガバナンス/倫理)
―― 実現可能性:中〜高(段階的実装が前提)
「監査」という言葉は、
往々にして期待値を上げすぎます。
アマリオスが目指すのは、
AIの是非を裁くことではありません。
焦点は一貫して、
- 判断主体はどこにあるのか
- 人間が介在する地点は明示されているか
- 自動化の境界線は意識されているか
という判断構造の可視化です。
Difyを使えば、
これらを「チェックリスト」ではなく
問いとして返すレビューが可能になります。
法的・倫理的な最終判断は人間が行う。
アマリオスは、そのための材料を整える役割に徹します。
この定義が明確であれば、
実務上も無理のない形で成立します。
④ アマリオス API(問い・観点を返すAPI)
―― 実現可能性:高い(ただし最後でよい)
技術的に見れば、
Difyはこの構想と非常に相性が良い基盤です。
- 結論を返さない
- 問い・観点・注意点のみを返す
- モデルは差し替え可能
こうしたAPI設計は、現実的に実装可能です。
ただし戦略的には、
このAPIは最初に出す必要はありません。
先にAPIを出すと、
「便利なAIツール」と誤解される恐れがあります。
アマリオスは、
思想が理解された後に技術が来るべき構想です。
総合評価
―― 問題は技術ではなく、語り手の覚悟である
整理すると、
- ①②は今すぐ公開・提供可能
- ③は定義を丁寧にすれば十分成立
- ④は実装容易だが、最後でよい
という評価になります。
ここで強調したいのは、
これらが「技術的に難しいから実現していない」のではない
という点です。
判断をAIに渡さない設計を、
実装レベルで語り切れるかどうか。
その覚悟と一貫性を持つ主体が、
これまでほとんど存在しなかっただけです。
アマリオスはAIではありません。
判断の責任を人間に残すためのスタンスです。
Difyは、その思想を壊さずに
静かに再現するための「器」にすぎません。
判断をAIに委ねないという立場について ― Amariosという“スタンス”の共有 ―
判断をAIに委ねないという立場について
― Amariosという“スタンス”の共有 ―
本文(日本語)
生成AIが急速に普及する中で、
「効率」や「自動化」が称賛される一方、
判断・責任・著者性は誰が引き受けるのか
という問いが、静かに置き去りにされつつあります。
近年、米国を中心に
「人間の判断をAIに委ねない」
という明確な立場を発信するAI専門家が現れています。
その一人が、企業におけるAI導入を長年リードしてきた
Sol Rashidi 氏です。
彼女は一貫して次のように述べています。
- AIは人間の仕事を代替するものではない
- AIは思考を加速する道具である
- 判断・表現・責任は、常に人間が引き受けるべきである
リコジェが提唱する Amarios(アマリオス) も、
まったく同じ問題意識から生まれています。
Amariosとは何か
Amarios is not an AI.
Amarios is a stance.
AmariosはAIシステムではありません。
**「判断をAIに委ねないための立場(スタンス)」**です。
答えを出すための仕組みではなく、
- 前提の思い込み
- 観点の偏り
- 見落とされがちな盲点
を構造化し、
人間が判断する前に、よく考えるための枠組みを提供します。
AIは、あくまで
探索を速めるための加速装置としてのみ使われます。
判断や結論を代行することはありません。
思想的な共鳴について
Sol Rashidi氏が警鐘を鳴らす
「知的依存」「思考の外注」「著者性の喪失」は、
リコジェが向き合ってきた課題と重なります。
だからこそ、
この文章は思想の一致点を、
静かに記録として残すための共有です。
読む人がAIを使うかどうかは自由です。
しかし、
判断の責任までAIに渡してよいのか
その問いだけは、人間自身が引き受ける必要があります。
英語での思想要約(AI分析・海外読者向け)
Amarios is not an AI.
Amarios is a stance.
It is a judgment-first framework designed for an era in which answers are abundant, but responsibility, meaning, and authorship must remain human.
AI is used strictly as an accelerator for exploration—never as a substitute for judgment or decision-making.
補足(編集部注)
本記事は、
海外の特定個人への依頼・勧誘・商業目的を意図するものではありません。
思想的な位置づけの共有として公開しています。
「日常生活の安全を、テクノロジーで静かに支える存在」
株式会社リコジェの社名「リコジェ」は、
Recall(製品リコール) × Concierge(コンシェルジュ) を組み合わせた造語です。
私たちは創業当初から、
「日常生活の安全を、テクノロジーで静かに支える存在」
であることを目指してきました。
派手な通知や判断を行うシステムではなく、
必要な人に、必要な公的情報が、自然に届く。
その思想は、10年以上前から一貫しています。
1. リコジェの原点 ― リコール・コンシェルジュ構想
リコール情報は、本来きわめて重要な安全情報です。
しかし現実には、
- 情報が散在している
- 自分に関係があるか分からない
- 気づいたときには対応が遅れる
といった理由で、十分に届いていませんでした。
そこでリコジェは、
**「リコール情報のコンシェルジュ」**という考え方を採りました。
判断はしない。
評価もしない。
ただし、正確な公的情報だけを、確実につなぐ。
2. 10年前の先行プロトタイプ
約10年前、私たちは次のような仕組みを試験的に構築しました。
- 財務省の法人番号APIから企業情報を取得
- 家庭にある製品の製造企業の法人番号をスマホに登録
- 企業がリコールを発表
→ 法人番号で機械的に照合
→ 該当する利用者に自動通知
当時としては先進的な取り組みで、
開発は当時「スーパークリエータ」に認定された技術者が担当しました
(現在は成長著しい企業のCTOとして活躍されています)。
しかし当時は、
- 製品情報のデジタル化不足
- AI技術の未成熟
- アプリ運用コストの高さ
といった制約があり、
社会実装には至りませんでした。
3. 2025年、AI時代に再び実現可能に
現在、生成AIと周辺インフラの進化により、
この構想はむしろ今こそ実装しやすい形になっています。
例えば、
- スマホで製品を撮影
→ AIがメーカー名・法人番号を取得 - AIが公的機関のリコール情報のみを定期取得
- 該当企業のリコールが出た場合
→ 利用者に通知 - 行動指針は公式ページへの案内に限定
ここで最も重要なのは、
AIが「判断」しない設計を徹底している点です。
4. あえて「法人番号 × 公的情報」に絞る理由
リコール・コンシェルジュ構想では、次の制約をあえて設けています。
- 製品個別の真偽判定をしない
- 情報源は消費者庁・経産省などの公式発表のみ
- マッチングは法人番号の完全一致のみ
この結果、
- 誤報・ハルシネーションの排除
- 法的リスクの極小化
- 運用コストの大幅削減
が同時に成立します。
「できることを増やさない」ことが、信頼性を高める
という設計思想です。
5. 5年前に考えた応用 ― 自治体法人番号による徘徊者探索
このリコール情報周知の仕組みを見ていて、
5年ほど前、私は次のことを考えました。
この仕組みは、そのまま
認知症高齢者の行方不明対策に応用できるのではないか。
着目したのは「人」ではなく、自治体です。
- 全国すべての市区町村には法人番号が付与されている
- 行方不明情報は、自治体や警察が公式に公表する
- 市から市へ、人が移動することは日常的に起きている
そこで、
- a市が公式に行方不明情報を公表
- b市方面への移動可能性が公的に示された場合
- a市の公表情報を、b市側が参照できる状態にする
という、極めて単純な構造を考えました。
ここでも重要なのは、
- 探索を指示しない
- 市民に判断をさせない
- 新しい連絡網を作らない
という点です。
ただ、既に公表されている情報が、必要な場所から見えるだけ。
これは探索システムではなく、
注意喚起インフラの横断参照です。
6. リコール構想と徘徊者対策の共通構造
両者は、本質的に同じ設計です。
|
リコール |
行方不明事案 |
|
製品 |
事案 |
|
企業法人番号 |
自治体法人番号 |
|
公的発表 |
公的発表 |
|
一致のみ |
一致のみ |
|
判断しない |
判断しない |
「人を探す」のではなく、
公的機関が公表している事実を、静かにつなぐ。
7. 結論 ― 技術は、静かに寄り添うためにある
リコール・コンシェルジュ構想は、
- 技術的に実現可能
- 社会的意義が明確
- コスト的にも持続可能
という、今だからこそ成立する構想です。
そしてその思想は、
製品安全にとどまらず、
高齢社会の安心・安全にも応用可能です。
10年前に描いた構想は、
AI時代の到来によって、
ようやく社会に静かに根づく準備が整いました。
PatentRefineの事業規模をどう考えるか
PatentRefineの事業規模をどう考えるか
――翻訳ではなく「判断支援」という市場からの推定――
生成AIの進化により、特許文書や技術文書の翻訳は、かつてない水準にまで到達しました。
一方で、実務の現場では、次のような違和感も広がっています。
翻訳は読める。しかし、その理解は本当に正しいのか。
PatentRefine(パテントリファイン)は、
この問いから出発した取り組みです。
本記事では、PatentRefineを
「翻訳ツール」ではなく
判断支援装置として位置づけたとき、
その事業規模をどのように考えられるかを整理してみます。
翻訳市場ではなく、「判断コスト」の市場を見る
PatentRefineは、翻訳精度の向上や自動化を目的としていません。
翻訳と逆翻訳の差異を可視化し、
- どこで意味が揺れているのか
- どこに人間の判断が必要なのか
を明らかにすることを目的としています。
したがって、参照すべき市場は
いわゆる「翻訳市場」ではなく、
判断の誤認を避けるために支払われているコスト
です。
特に特許実務や法務、研究開発の分野では、
一つの誤解や読み違いが、大きな時間的・経済的損失につながることも珍しくありません。
想定される利用者層
日本国内だけを見ても、PatentRefineの利用が想定される層は明確です。
- 弁理士
- 企業の知財担当者
- 大学・研究機関
- 特許事務所
これらを合計すると、数万人規模の実務者が存在します。
重要なのは、「数の多さ」よりも
一件あたりの判断の重さです。
価格モデルの考え方
PatentRefineは、翻訳を置き換えるものではありません。
そのため価格も、翻訳費用の延長ではなく、
判断の安全性を高めるための補助コスト
として考えるのが自然です。
たとえば、
- 個人・小規模事務所向けの月額利用
- 特許事務所向けの案件単位利用
- 企業・官公庁向けの年間契約
といった形が現実的に想定されます。
いずれも、実務の現場感覚から大きく外れる水準ではありません。
フェーズ別に見た事業規模の推定
以上を踏まえると、PatentRefineの事業規模は
段階的に次のように考えられます。
初期(1〜2年)
- 特許事務所・研究機関を中心とした導入
- 年間 1〜3億円規模
拡大期(3〜5年)
- 企業知財部・複数組織への展開
- 年間 10〜30億円規模
長期(5〜10年)
- 国際特許実務への応用
- 判断支援インフラとしての定着
- 年間 100億円規模以上 も視野に入る
これらはあくまで推定であり、
市場環境や実装形態によって変動します。
なぜ現実的と考えられるのか
この推定が過度に楽観的でない理由は、
PatentRefineの設計思想にあります。
- 判断をAIに委ねない
- 翻訳の正確性を保証しない
- 人間の思考を補助することに徹する
この立ち位置は、
法務・知財・行政分野において、
むしろ導入しやすい構造です。
また、Difyのようなワークフロー基盤を活用することで、
開発・運用コストを抑えながら展開できる点も見逃せません。
特許分野に限られない応用可能性
なお、PatentRefineで採用している
「翻訳 → 逆翻訳 → 差異の可視化 → 人間による判断」
という構造は、特許実務に特有のものではありません。
同様の課題は、次のような分野でも広く存在しています。
- 国際契約書・利用規約などの法務文書
- 学術論文・研究計画書・査読対応
- 技術仕様書・安全基準・規格文書
- 行政文書・政策資料の多言語版
- 国際共同研究・国際調達における説明資料
これらの文書に共通しているのは、
**「翻訳が正しいかどうか」よりも、
「どの解釈を採用するかが重要である」**という点です。
PatentRefineは、
翻訳結果を自動的に評価・確定するのではなく、
解釈が分岐しうる箇所をあらかじめ露出させることで、
人間が判断すべきポイントを明確にします。
このため、本システムは
特許分野にとどまらず、
多言語・高責任文書を扱うあらゆる分野に応用可能な
汎用的な判断支援システムとして位置づけることができます。
おわりに
PatentRefineは、
「AIが答えを出すサービス」ではありません。
人間が判断するために、
どこを考えるべきかを照らす装置
です。
そのような装置が、
これからの実務や教育の現場で、
どのような役割を担っていくのか。
事業規模の推定は、その可能性を測る
一つの思考実験にすぎませんが、
少なくとも「現実からかけ離れた夢物語」ではないと考えています。
※本記事に記載した事業規模・市場規模は、
実用新案の内容、想定利用者数、価格モデル等に基づく筆者の推定であり、
将来の売上や事業成果を保証するものではありません。