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🌐 AI画像に著作権は成立するのか?―国内初の摘発報道を読み解く(論評)
🌐 AI画像に著作権は成立するのか?―国内初の摘発報道を読み解く(論評)
2024年に千葉県警が行った「AI生成画像の無断複製」に対する全国初の摘発は、AI時代の著作権問題に新しい段階が訪れたことを象徴しています。
記事によると、画像生成AI「Stable Diffusion」を使って作品を制作した男性は、2万回以上の詳細なプロンプト操作と修正の反復を行いながら作品を完成させていたと述べています。
このプロセスを踏まえ、県警は「人間の創作的寄与が十分にある」と判断し、AI生成物に著作物性を認めた点が大きなポイントです。
🧩 1. プロンプト操作は“創作”なのか?
文化庁の「AIと著作権に関する考え方」では、
プロンプトの分量・内容・試行回数・指示の具体性などを総合的に見て、
著作物に該当するかどうかを判断するとされています。
今回のケースではまさにこれが当てはまり、
- 2万回以上のプロンプト入力
- 出力の確認と逐次修正
- 最終的に意図に沿った作品の選択
これらの事実から、**「AIの自動生成」ではなく「人間の意図による創作」**が認められた形になります。
🌍 2. 海外との比較:アメリカは“不認定”、中国は“認定”
本件は国際的なAI著作権議論とも対照的です。
- アメリカ:AI漫画イラストの著作権登録を却下
→ 「AIが何を作るか予測できない」「人間の支配が不十分」と判断 - 中国:AI画像を著作物として認定
→ プロンプト選択の知的労力を評価
今回の日本の判断は、中国に近く、
“プロンプトによる創作性”を重視する立場に寄ったと言えます。
⚖️ 3. なぜ刑事事件として扱われたのか?
警察は 無断複製し書籍表紙に使用した点を重視し、
複製権侵害として書類送検しています。
著作権侵害は本来民事で争われることが多いですが、
商用利用や悪質性がある場合は刑事事件として扱われることもあります。
本件は、
- 商用利用
- 無断使用
- 原作品が著作物性ありと判断された
という三拍子がそろったことから、刑事処罰の対象となったと考えられます。
🚀 4. 国内初の摘発=“パイロットケース”の意味
この摘発は、法執行当局が
「AI著作権問題に対する運用モデルをつくる」
という目的で行った“パイロットケース”と捉えることができます。
実際、AI生成物を著作物と認める判例は国内に存在していません。
そのため、
- 今後の捜査・裁判の基準づくり
- クリエイター保護の明確化
- 無断使用への抑止力
といった効果が期待されます。