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雨の日も、晴れの日も。
傘は、ただ雨をよけるだけの道具ではありません。
だれかを守り、だれかに空を見せ、だれかの傷あとをそっと照らしてくれる存在です。
『あーんぶれら 第1話から第3話』は、傘たちが主人公のやさしい児童向け物語です。
第1話「そらをみあげて」では、黄色い傘「あーんぶれら」が登場します。
ピアノの試験に合格した菜々子は、うれしさのあまりスマホを見ながら雨の橋を歩いていました。けれど、強い風が吹き、あーんぶれらは菜々子の手を離れて空へ舞い上がります。
それは、ただの別れではありませんでした。菜々子が一瞬だけ顔を上げ、空を見たこと。危ない橋の上で走って追いかけなかったこと。あーんぶれらは、そのことを静かに受け止めます。
第2話「ビニーのひみつ」では、透明なビニール傘「ビニー」が主人公です。
体が全部すけて見えることを恥ずかしいと思っていたビニー。けれど、ある女の子はその透明な体を見て、「かわいい」「きれい」と言います。
隠せないことが、実はビニーだけのひみつだった――。
人と違うこと、自分だけの特徴を、やさしく肯定してくれるお話です。
第3話「ばんじいのきずあと」では、古い赤い番傘「ばんじい」が登場します。
ばんじいの和紙には、長い傷あとがあります。その傷は、昔、嵐の夜に一人のおばあさんを守ったしるしでした。
「きずあとは、生きた証じゃ」
かさじいの言葉とともに、傷を隠すのではなく、金色でふちどって守るという、金継ぎにも通じる心が描かれます。
巻末には、読み聞かせのヒントや、むずかしい言葉の説明も収録。
さらに第3話に関連して、感震ブレーカーや停電灯についての「おうちのかた向け防災メモ」も加えました。物語を楽しみながら、親子で防災について話すきっかけにもなる一冊です。
雨の日が少し好きになる。
傘を少し大切にしたくなる。
そして、子どもにも大人にも、「守ること」「違いを認めること」「傷あとを受け止めること」をそっと届ける物語です。
読み聞かせにも、親子の対話にもおすすめです。
