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魏志倭人伝に基づく 倭律法四十条(序文付き)
魏志倭人伝に基づく 倭律法四十条(序文付き)
本稿は、『魏志倭人伝』に記された倭人の生活・信仰・統治の記述を、
法律の条文形式として再構成し、四十の律法草案としてまとめたものである。
史料を法文として読み替えることで、
当時の人々の行動や社会秩序が、どのような原理によって律せられていたかを、
現代の生活感覚と比較しながら理解しやすくすることを企図している。
なお、現在構想中の叙事詩『EPIKIA』では、
この律法の制定過程をギリシャ神話風の物語として描く予定である。
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第1条 民、道を乱すことなく、譲り合いを常とすべし。
第2条 盗みを禁じ、訴訟を慎むべし。
第3条 軽罪は家に及び、重罪は門戸を滅す。
第4条 国ごとに官を置き、邑を治むる者を定めよ。
第5条 北の邑には統率者を立て、国々を検察せしめよ。
第6条 外国と交わるときは、誠をもって言を伝うべし。
第7条 誓約を立つるときは、鏡・剣・珠を証とす。
第8条 会同には老若男女ともに列し、差別を設くるなかれ。
第9条 尊卑を正し、上に仕え、下を導け。
第10条 王は神託により選ばるべし。
第11条 春は苗を祀り、夏は水を祀り、秋は稲を祀り、冬は火を祀れ。
第12条 租賦を納め、倉を設け、余をもって足らざる邑を助けよ。
第13条 市を立て、偽りを禁ず。
第14条 贈り物は心を結ぶ糸なり。虚偽をまじうるなかれ。
第15条 村は水をめぐらせ、舟を迎える門を開け。
第16条 狩猟・漁撈は祈りをもって行え。
第17条 山の木・海の魚を奪いすぎるな。
第18条 真珠と青玉を神に供えよ。
第19条 持衰を立て、災いを背負う者を置け。
第20条 雨を祈るとき山に登り、洪水には川を鎮めよ。
第21条 死を葬るに十日泣き、葬りて身を清めよ。
第22条 火と土と歌をもって魂を送れ。
第23条 酒は神を招く水、過ぎて乱すことなかれ。
第24条 赤き丹を身に塗るは清めとす。
第25条 入墨は海を渡る守りなり。
第26条 竹と木の器を用い、手で食せ。
第27条 裸足にて地を踏み、大地の力を受けよ。
第28条 屋を高く建て、風と光を招け。
第29条 病を遠ざけ、身を清く保て。
第30条 神に祈り、祈雨・祈晴を忘れるな。
第31条 婚姻は二つの魂の結びなり。心の拒むを強いるな。
第32条 多妻とて嫉むなかれ、和をもって家を保て。
第33条 敬礼は身をかがめ、草に退いて行え。
第34条 祖を敬い、神を祀れ。
第35条 酒と舞をもって宴をなし、悲しみの後は歌を奏でよ。
第36条 異邦の者を迎え、礼をもって接す。
第37条 子は親を敬い、親は子を導け。
第38条 国に忠を尽くし、天子に貢せよ。
第39条 神に誓うときは、鏡剣珠を掲げて誓え。
第40条 言葉を尽くし、争いを剣に委ねるな。
出典:陳寿『三国志 魏志倭人伝』(3世紀)
再構成・条文化:白石光男(RICOJE)
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