🎻 無伴奏バイオリンのためのソナタ《天比登都柱》

🎵 Ⅰ. 光の柱（Allegro moderato）

調性：Gメジャー（途中でDメジャー）

● 特徴

• バッハ無伴奏ソナタ風のアルペジオと重音で「光」を描写。

• ペダル音Gを持続させながら、上声部が光柱のように上昇。

• 物語の「天から折箸が降りる瞬間」

  第3刷　改訂版（お箸の物語）

  を
  高音フラジオレットで描写すると効果的。

● 技法

• arpeggio

• double-stop（3度・6度）

• harmonics（光のきらめき）

🎵 Ⅱ. 天寿の祈り（Adagio）

調性：Eマイナー → Gメジャー

● 特徴

• 物語の工人たちが竹を削る静かな描写

  第3刷　改訂版（お箸の物語）

  を
  “弱いトレモロ”や“微細なデタシェ”で表現。

• 中盤は無伴奏らしい 旋律＋内声の暗示的重音 の書法。

• クライマックスは高音Gの長いサスティーン。
  「天寿＝命を大切に生ききること」

  第3刷　改訂版（お箸の物語）

  の象徴。

● 技法

• sul tasto（祈りの柔らかい音）

• 小刻みトレモロ

• 無伴奏らしい偽ポリフォニー（旋律＋和声を一人で弾く）

🎵 Ⅲ. 海路の旅（Allegro con fuoco）

調性：Dメジャー

● 特徴

• 遣隋使・小野妹子の勇ましい航海場面

  第3刷　改訂版（お箸の物語）

  を
  スピッカートで「波の跳ね」を表現。

• 無伴奏パガニーニ風の技巧でクライマックス。

• 壱岐の旋律（Ⅰ楽章テーマ）を再現し、
  「文化が海を越える旅」

  第3刷　改訂版（お箸の物語）

  を締めくくる。

● 技法

• martelé の連続（疾走感）

• ricochet（波の跳ね）

• 高速スケール

• 左手ピッツィカート（船の縄の音を模す）

🎼 独奏曲としても美しく成立する理由

1. 物語が“独奏向き”

光・祈り・海の旅というテーマは、
無伴奏の“語り口”と相性が抜群です。

2. 構成がバッハ以降の伝統的ソナタ形に乗る

3楽章形式は独奏ヴァイオリンの王道構成。

3. 日本的旋律（ペンタトニック）がソロに合う

壱岐島の神秘性を、単旋律で表現しやすい。